新型コロナウイルス対策の反映はまだ??なぜ、自治体が策定する地域防災計画は抽象的で修正に時間がかかるのかを解説します。

flood

2020年12月12日書き直し

なぜ、自治体が策定する地域防災計画は抽象的なのか?

地域防災計画は、災害対策基本法に位置づけられた、都道府県・市町村の防災に関する大綱です。大綱なので、大枠の事だけを決めており、詳細部分については決めていません。

自治体の防災計画の幹となる計画として位置づけられており、枝葉の細かい防災分野については、個別具体な計画(避難所運営マニュアルとか、業務継続計画とか)で規定する形をとっています。

 

災害対策基本法抜粋 その1
  1. 当該市町村の地域に係る防災に関し、当該市町村及び当該市町村の区域内の公共的団体その他防災上重要な施設の管 理者の処理すべき事務又は業務の大綱
  2. 当該市町村の地域に係る防災施設の新設又は改良、防災のための調査研究、教育及び訓練その他の災害予防、情報の収 集及び伝達、災害に関する予報又は警報の発令及び伝達、避難、消火、水防、救難、救助、衛生その他の災害応急対策並び に災害復旧に関する事項別の計画
  3. 当該市町村の地域に係る災害に関する前号に掲げる措置に要する労務、施設、設備、物資、資金等の整備、備蓄、調達、 配分、輸送、通信等に関する計画

しば

地域防災計画は、自治体ににとって防災に関する最上位計画です。この計画に矛盾するような防災マニュアルや防災行動計画は、存在しえません。

地域防災計画に掲載されていない分野は、災害時に対応できない??

この地域防災計画に全く要素として入っていない事項については、その自治体はマニュアルや実行計画レベル等の具体計画の中で詳細を考えていない可能性が非常に高い事項という事になります。要するに、地域防災計画でカバーできていない分野は、その自治体が考慮していない、防災分野の穴ということになります。

あなたが気になる分野について、ちゃんと地域防災計画で規定されているか調べてみては??参考になりますよ。

原子力防災の場合

例えば、東日本大震災以降、原子力発電にトラブルが生じた場合の防災計画を地域防災計画に盛り込むケースが増えています。特に、UPZ圏内(原発から31キロ圏内)の自治体では避難計画を作成する事が国から求められているため、地域防災計画に掲載されているケースが多いようです。

逆に言えば、原子力防災について、何ら記載がなければ、その自治体は、何も考えていないという事になります。

これは、結構大きな問題で、仮に原発にトラブルが発生した場合、その影響がその地域内で完結すれば、何ら問題は発生しませんが、そんなことはあり得ません。

例えば、大量の避難者が発生します。汚染された地域から、避難者は全国色々な場所に避難する事になりますが、どこで除染をするのか?どの場所で、受け入れを想定するのか?受け入れる場合に、地元住民への周知は??等々事前に自治体が決めておかないと、トラブルになることは目に見えています。

自治体が裁量で決められる部分とそうでない部分がある?

災害対応は、国・都道府県・市町村が連携して初めて、最大の効果を発揮します。

例えば、物資の輸送を考えてみると、発災して2~3日の期間は、国及び都道府県は、市町村の物資集積所に、PUSH型(市町村の依頼を待つことなく)で、物資を供給し、供給された物資は、市町村が責任をもって避難所まで届けるという、共通認識ができています。

よって、地域防災計画も、都道府県の地域防災計画は、国の防災計画に配慮する事、市町村の防災計画は都道府県に配慮する事と、災害対策基本法の中に規定されています。bousaikeikaku

これが、どこの自治体の地域防災計画も似たり寄ったりになっている原因の一つでもあります。(災害対応が自治体ごとに大幅に異なるわけはないので、当たり前といえばそうですが・・・)

災害対策基本法抜粋 その2
  • 市町村防災会議(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長。以下この条において 同じ。)は、防災基本計画に基づき、当該市町村の地域に係る市町村地域防災計画を作成し、及び毎年市町村地域防災計画 に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
  • この場合において、当該市町村地域防災計画は、 防災業務計画又は当該市町村を包括する都道府県の都道府県地域防災計画に抵触するものであつてはならない。

 

地域防災計画は小回りが利かない、修正に時間がかかる計画

地域防災計画は、修正方法が法律に定められており、有識者等が入った市町村防災会議が定めるものとなっている。(市町村長が定める計画ではないことに注意してください。)

なので、簡単に自治体が防災計画を変更することは難しいです。多くの自治体が、軽微な修正であっても、パブリックコメントで広く市民の意見を募集し、防災会議で関係機関の意見を収集したうえで、計画修正をしています。

要するに、地域防災計画は、都道府県や市町村の防災分野の根幹となる計画ですが、自治体が自身の力のみで決定できる計画ではありません。様々な機関や住民にお伺いを立てて、ようやく策定できる小回りが利かない計画になっています。

細かいことは書いていない・書けないため、概念的な計画になっています。実際に、あなたの住んでいる地域の地域防災計画を調べてみてください。防災の分野は日進月歩ですが、毎年地域防災計画の見直しをしている自治体はほとんどありません。

結論
自治体の災害対応の方向性を知りたいなら地域防災計画をチェック。具体的な動きを知りたいなら、個別計画を見る方がいい

 

新型コロナウイルスに対応した計画になっているのか

令和2年5月に国の新型コロナウィルスの感染拡大を受け、国の防災基本計画が修正されました。

被災者が集まる避難所で、感染が広がるのを防ぐため、必要に応じてホテル等宿泊施設の利用も、検討することが新たに盛り込まれたため、今後、市町村の地域防災計画も同様の修正がなされると思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です