防災をゲーム形式で学べる クロスロードの進め方(ファシリテーターによる解説例付き)

クロスロードをご存じですか

「クロスロード」(Crossroad)とは、「岐路」、「分かれ道」のことで、そこから転じて、重要な決断、判断のしどころを意味します。
「クロスロード」は、防災に関するとりくみにしばしば見られるジレンマ-「こちらを立てればあちらが立たず」-を素材として、
参加者が、自分自身で、二者択一の設問にYESまたはNOの判断を下すことを通して、防災を「他人事」ではなく「我が事」として
考え、同時に相互に意見を交わすことをねらいとした集団カードゲームです。

例えば、 大災害時には多くの人が避難所に避難します。しかし、行政等の支援体制が整うまでの間、支給される食料は全く足りません。このようなとき、避難所担当者は様々なジレンマを抱えます。

「混乱を避けるため、全員分の食料がそろってから配布した方が良いのではないか?」、「いやいや、いつ届くかわからない追加分を待つのではなく、今手元にある食料をすぐに配るべきではないだろうか?」 クロスロードではこのようなジレンマを「問題カード」として研修参加者に提示し、「イエス・ノーカード」で答えさせることを繰り返しながら進行します。その際、多数派の回答者にポイントを与えるなどによりゲーム性を持たせています。

京都大学防災研究所の矢守先生等が開発されたゲームです。

引用:消防庁 防災危機管理 eカレッジ防災ゲーム「クロスロード」とは?(リンク)

クロスロードに必要人数・モノ・時間

最適な人数

1グループ5人くらいとされていますが、7人くらいまでなら全然大丈夫です。少し進行が遅れる程度です。

多数派と少数派が分かれるよう、できたら奇数の人数がおススメです。

所要時間

ゲームの説明10分、実施50分

用意するもの

  • YES/NOカード 1人に1セット
  • 問題カード(標準的なのは、神戸編1002、1003、1006、1008、1010、1012、1016、1026、1027、1030)
  • 得点用の座布団カード(テーブルごとに置いておく)

実際のゲームの進め方

ファシリテータの趣旨説明

本日、皆さんに取り組んでもらうのは、防災カードゲームクロスロードです。

クロスロードとは、分かれ道のことです。

ゲームのなかでは、災害時によくあるジレンマをテーマにして、YESかNOか、つまりどちらの道に行けばよいかを判断します。
この判断力を養うことは、災害を自分にもおこりうる問題として考える効果的な訓練になります。

また、自分やほかの人がなぜそう判断したかをグループで話し合うことで、異なる立場や考え方にも気づくことができます。
これを重ねることにより、ジレンマに打ち勝つ方法を見つける力がつきます。

「クロスロード」が広まったのは、阪神・淡路大震災がきっかけとなっています。
文部科学省が進める「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の一環として開発され、まず平成16年に「神戸編・一般編」が完成しました。

全国の防災訓練で、クロスロードを使った防災ゲームが行われています。
自治体でこのゲームを行うと、参加者一人ひとりのジレンマ対応力が養われるほか、その地域で求められる防災や災害対策を具体的に知ることができるといった効果があります。

この「クロスロード」に「正解」はありません。
ポイント代わりに座布団を使うのですが、それをたくさん獲得することがクロスロードの目的ではありません。
問題に対して、自分や他の人がなぜYES・NOを選んだのかを知ることが大切なのです。
防災活動や災害現場には、いろいろな考え方の人がいて、ジレンマも数多く存在します。
多くの人が受け入れることのできる結論を引き出し、実行に移す力を、楽しみながら身につけていくことがこのゲームの目的です。

それでは、早速やってみましょう

ゲームの進め方

STEP1
問題カードを読み上げる
じゃんけんで、参加者の読み手を決める。(時計回りで読み手は交代する)

STEP2
全員が自分の意見を決める
読み上げられたカードに対してYESなのかNOなのか、自分の意見を整理する

STEP3
YES又はNOのカードを裏向けて自分の前に置く

自分のテーブルの前に裏にしておきましょう

YV

STEP4
一斉に表に向ける

STEP5
多数派だった人は、全員青座布団をもらう
例外として1人だけの異なる意見の場合は金の座布団をもらう

あとは、これを繰り返してカードをこなしていく。

 

実際に仲間内でやったときには、そのカードを何故選択したかを、1人1人簡潔に述べてもらいました。新しい気づきがあって、これはやり方として良かったと思います。

あと設問カードができた背景や、考え方の整理については以下の書籍が役に立つのでお勧めです。

ファシリテーターによるカードの解説例(神戸編1026)

最後に、ファシリテーターから、カードの解説をするパターンになると思いますが、時間がものすごくかかるので、全部のカードを取り上げる必要はないと思います。神戸編1026の解説例を載せておきますね。

神戸編1026番 あなた:被災した病院の職員
入院患者を他の病院に移送中。ストレッチャー上の患者さんを報道カメラマンが撮ろうとする。腹に据えかねる。

そのまま撮影させる YES/NO

当時は、かなり「ノー」の側に寄っていたようです。

今日のゲームでも、撮らせない、そんなことをしている暇があれば手伝えということで、「撮影させない」という気持ちの人もいるでしょうし、患者さんの気持ちに寄り添って、自分が落ち込んでいるときや困っているときに写真に撮られてうれしい訳がないから、NOのカードを選択した人もいるかと思います。

一方で、災害では常に、大変な所ほど情報が入ってこないし、大変な所ほど記録が残らないという法則が成り立ちます。この場合もそうです記録を残すという機能を担う人も必要だから、YESを選んだ人もいるかと思います。

実際に、報道機関の新人記者に同じ設問を投げかけた時には、98人がYESを選択したそうです。研修後、NOを選択した2人が呼ばれて、叱責されたそうです。最終的に記事にするかしないか、その写真を掲載するかしないかはデスクが決めることで、第一線の記者がこの段階で撮影を遠慮していたらダメという趣旨のようでした。

メディアの方はメディアの立場から災害に一生懸命関わっています。それはそれで非常に大事なことです。ただし、今のエピソードに示されていたように、恐らく被災者や自治体の方とはだいぶ違う構えを持って被災地に臨まれています。そのことは私たちの側が知っておかないとまずい思います。

引用:ミニ講座 「防災対応ゲーム『クロスロード』から学ぶ」 京都大学教授 矢守 克也 氏(リンク)

 

締めのコメント(参考例)

大規模災害時には、マニュアルの大前提が崩壊しています。マニュアルにないことがたくさん起こります。そういう場面ではあらかじめ決まった正解ではなく「その時その場でみんなで正解を作っていった」と聞いています。

なので、「その時その場でみんなで正解を作る」練習を事前にできれば、「その時その場でみんなで正解を作る」場面に立たされるよりも、より良い対応ができると考えます。

本日のクロスロードゲームに参加してくれてた、皆さんの今後の防災活動や災害対応に、なんらかの形で生きてくることを期待しています。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です