新型コロナウイルスの影響で災害時にはホテルが避難所代わりになるって本当?防災士がお答えします

ホテル

結論
都道府県及び市町村によって異なるが、都市部や観光地に位置する自治体から、ホテルなどの宿泊施設における避難者受け入れ体制が整えられていくと思われる。(既に東京都では制度構築済)

避難所の受け入れ可能者数は減るのか?

新型コロナウイルスの影響で、避難所の避難者受け入れ数可能数は激減しています。これまで避難者1人あたりの必要面積を2㎡等で計算してきたものを、国の方針に沿って4㎡以上必要であるといった考えに変更した自治体が、多いためです。

面積に加え、1m~2m程度のソーシャルディスタンスを取った場合、避難者の受け入れ可能数は、これまでの1/2~1/3程度になると思われます。

注意
避難所の受け入れ可能者数が激減。1000人規模(小学校等)の避難所なら300~500人程度に圧縮される

受け入れ体制については、こちらの記事に詳しく書いています。

korona 新型コロナウイルス感染症が蔓延している中で、大災害が発生したら避難所はどうなる?

避難所に来る避難者数を減らす取り組み

上記の通り、現行の体制では基礎自治体には避難者を受け入れるだけの十分なスペースがありません。なので、国や自治体は、自宅が土砂災害や浸水想定区域内の外にいる人は避難所に来ないように呼び掛けています。

(参考)内閣府「避難行動判定フロー」

避難行動を分散させる(在宅避難、親類宅へ避難、公的避難所への避難のどれか)事によって、避難者数を減らすことに注力しています。お住いの自治体のホームページや広報でも同じような情報が発信されていると思います。ぜひご確認を。

これまでの避難所にホテルが追加されるのか?

今後、都市部等からホテルも避難所として追加されていくと思われます。根拠は以下の通りです。

令和2年4月7日 内閣府 通知

避難所における新型コロナウイルス感染症への更なる対応について

(可能な限り多くの避難所の開設)

・発災した災害や被災者の状況等によっては、避難所の収容人数を考慮し、あらかじめ指定した指定避難所以外の避難所を開設するなど、通常の災害発生時よりも可能な限り多くの避難所の開設を図るとともに、ホテルや旅館等の活用等も検討すること。

この通知は、都道府県、政令市、中核市、特別区を対象に発出されており、宿泊施設が潤沢にある自治体では、ホテルなどを避難所として活用することが検討されています。

東京都と大阪府そして長野市の3つの事例をご紹介したいと思います。(先行事例として東京都の取り組み、大都市の事例として大阪府、そして避難所運営に苦慮した自治体で先進的に取り組んでいる代表として長野市を取り上げることとします。)

東京都と大阪府、長野市の動き

東京都の動き

令和2年6月26日現在で、全日本シティホテル連盟関東支部・日本旅館協会東京都支部と協定を締結しています。いわゆるホテル団体と協定を締結したということは、その傘下のホテル全てと協定を締結したことになります。NHKによると、該当する施設数は約1,000施設とのことです。

発災時の受け入れスキーム(協定より)

東京都スキーム

MEMO
このスキームだと、風水害時に生命の安全を確保するための避難所としては機能しないと思われます。(大雨時の災害リスクが高まっている時に、わざわざ遠いホテルまで避難するのは現実的ではありません。)避難生活が長期化した場合の備えとして、理解しておくべきでしょう。

詳細は以下のページを参考に

災害時の避難所としてのホテル・旅館等の活用のための協定等について(東京都防災ページ)

新型コロナで密集防ぐ 避難所確保へ都がホテル旅館団体と協定(NHK)

 

大阪府の動き

大阪府の場合、東京都と異なりホテルとの協定などについては報道されていません(令和2年7月23日現在)、しかしながら、府の避難所運営マニュアル等にホテルの活用が言及されていることから、近日中に東京と同様の流れになると考えられます。

『避難所運営マニュアル作成指針』
(新型コロナウイルス感染症対応編)

(2)多様な避難所等の確保

 

(前略)大阪府としても指定避難所となっていない府有施設の避難所活用について検討を進めるとともに、市町村のみでホテル・旅館等の確保が困難な場合には、大阪府も協力しその確保に努めていく。

 

① 可能な限り多くの避難所の開設

 

避難所の収容人数を考慮し、あらかじめ指定した指定避難所以外の避難所を開設するなど、通常の災害発生時よりも可能な限り多く避難所の開設を図るとともに、管内あるいは府内に所在するホテルや旅館等の活用も検討する。

さらに本府はじめ、国、及び独立行政法人、民間団体等が所有する所管施設をはじめ研修所、宿泊施設、その他施設についてもリスト化を図り、活用できるよう検討もしくは協力を要請する。

長野市の動き

2019年に千曲川の破堤により、長期間の避難所開設を経験した長野市では、今回のコロナ蔓延化における対策にいち早く乗り出しており、ホテルとの個別協定を締結しています。避難所運営主体である基礎自治体としては非常に稀です。

都道府県とホテルとの協定では、県下の自治体間でホテルの空き室を奪い合う形になってしまいますが、この長野市のように、自治体単独で協定を締結すれば、空き室は長野市民に対してのみ提供されます。

避難所の3密対策という観点では、長野市は非常に先進的に取り組んでいると言えます。

避難所コロナ対策で5ホテルと初協定 長野市が過密回避へ(NHK)

 

ホテルを避難所とすることの課題(活用は一部の地域に限定される)

国は、人口過密エリアの避難者受け入れ対策の一つとして、ホテルでの受け入れを持ち出してきたと推測されます。冒頭からの繰り返しになりますが、ホテルが所在する場所は都心部とか観光地等に限られているため、この方針を全国一律で水平展開する事は不可能です。

限られた地域の限られた人だけが、対象となる仕組みであると理解する必要があります。近隣にホテルが立地している住民であっても、大雨時の避難という切羽詰まった状況下では、使い勝手が悪いと言わざるを得ません(ホテルに行く暇がない)。

MEMO

住宅地に居住している住民にとっては、利用したくても利用できないことになりそう。特に風水害では、雨や風で災害のリスクが高まってから避難勧告が発令されるため、そこらか遠くのホテルまで避難する事は現実的ではありません。

ホテル利用による避難の場合、費用負担は誰がするのか?無料か?

避難所という性質上、金銭的余裕がないためにホテルに避難したくても出来ないなんて状況は、あってはならないことだとですし、自治体が最も嫌がる類のことだと思います。よって、住民負担はないものと考えられます(自治体からホテル側に費用を支払い)。

過去に、災害救助法が適用された場合の、ホテル利用の費用負担について事例がありますが、当然ながら住民の負担はありません。このケースから類推しても、住民の負担はなし、無料での利用になると思われます。

避難者の宿泊施設受け入れ、災害救助法を活用 観光庁

MEMO
ホテルが避難所代わりになった場合、費用負担は発生しない、無料で利用できる可能性が高い。(2020.07.26現在)詳細は、地元の自治体に確認を。

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