- 昇進・昇格試験の小論文で、『絶対に外してはいけないルール』
- 小論文で求められる基礎文法・基礎表現
- 他の受験者に一歩差をつける。評価されやすい小論文を書くコツ
- 論文の質を向上させる推敲のやり方
昇進・昇格試験で小論文において、合格水準に達する論文とは何でしょうか?不合格になる論文とは何が違うのでしょうか?
大学入試や、入社試験での小論文とは異なり、昇進試験における小論文には、『絶対に外してはいけないルール』があります。
それは、提示された課題に対して、自分のポジションを明確にした上で意見を明確に主張する必要があるということです。
決して、『AでもありBでもありうる』といった、毒にも薬にもならない意見を昇進・昇格試験で書いてはいけません。
出題者側は、100対0で答えが出るような課題など、あり得ないことは重々承知の上で、受験者の意見を聞きたくて小論文を課しているのです。
小論文では、実務者or管理者としての適性が見られているのであって、評論家としての適性がみられているのでは、ありません。
合格に到達する小論文とは、上記の『絶対外してはいけないルール』を確実に抑えた上で、文章の基礎が抑えられており、かつ論理展開に矛盾がなく論拠が明確である小論文のことです。
けん
しば
受験者でそこまで書けるような人材は、ほとんどいません。(逆に、本当に素晴らしいアイディアが書けたなら合格は確実でしょう。)
昇進・昇格試験は相対的な評価で合格者が決定します。
合格には、アイディアの質までは、求められてはいないということも、理解しておきましょう。
もし、具体的な小論文の組み立て方、文章の書き方について、先に学びたい方はこちらの記事からどうぞ。
参考記事昇進・昇格試験|小論文の書き方講座(構成編・実践編)
目次
1.昇進・昇格試験の小論文には『絶対に外してはいけないルール』がある
自分の意見を書く
ポジションをとって主張すること。
冒頭にも書きましたが、Aでもあり、Bでもあるといった、誰にでも論じれるようなことを論文で書いてはいけません。
組織が評論家を求めることはありません。
『~と思います』は、使用厳禁。
採点者側は、受験者の感想は求めていません。自信のない表現や保険を掛けるような表現はやめましょう。
採点者側が求めているのは、意見とそれを裏付けする論拠・論理展開を求めています。
しば
解決案が書けないなら、そもそも課題として挙げてはダメ
例えば、ワークライブバランスの推進というテーマに対して、「残業が多い」という課題があったしましょう。
もし、あなたが残業時間短縮の解決策が思いつかないなら、「残業が多い」という課題を小論文中でリストアップすることをやめましょう。
しば
自分の書きやすい(解決策が提案できる)、切り口(課題)を提示して論理展開していきましょう。
課題の数と解決策の数が一致しない
与えられたテーマに対して、課題を5つ挙げているにも関わらず、解決策を3つしか書かない人が時々います。
採点者側からすれば、『残りの2つの課題はどうなった??』と消化不良になってしまいます。
3つしか、解決策を書かないのであれば、課題・問題点の設定も3つに絞っておきましょう。
しば
2.【書き方編】最低限押さえておくべき、小論文の基本ルール
採点者側に、小論文を正当に評価してもらうためには、最低限の文法や表現の体裁を保っていることが必要です。
分かりやすいところでいうと、「だ・である調」と「です・ます調」を混同してはいけない等がイメージしやすいでしょうか?
しば
取りこぼさないように、きっちり抑えておきましょう。
最低限押さえておくべき、文章の基本ルールは、以下の通り。
文法の基礎ルール
- 主語と述語は近づける。
- 修飾語と名詞は近づける。
- 文章短く、端的に。1文で60文字くらいを目安に。
- 1つの文には、ワンセンテンス、ワンメッセージ。
- 専門用語や、ビジネスカタカナ語(アジテーション、アジャイル)を使わないこと。
※採点が、外注の可能性があります。誰にでも伝わる文章を心がけるべき。
表現の基礎ルール
- 書き言葉と話し言葉を混同しない。
- 単位を統一する。お金の単位や重さ、サイズなど、誤解が生じないよう、揃えておく方が無難。
- 同じ言葉の繰り返しを避けること。(稚拙に感じてしまう。特に語尾の言い回し。)
- 名詞、特に固有名詞は統一すること。
例えば、マネージャーと管理職を同じ意味として、文中で使うなら、どちらかに統一するべき。
混同しやすい、話し言葉と書き言葉は、次の5つ
私の場合ですが、文末に『〜と考える。』でまとめようとしてしまう傾向があって、~と考える。~と考える。の繰り返しで、考えすぎな小論文になってしまったことがあります。
例えば、文末の表現として、「~と認識している。」、「~です。」、「~と言えます。」などいくつかのバリエーションを用意しておくことで、回避できるようになりました。
3.【文章の構成編】最低限押さえておくべき、小論文の基本ルール
3段構成(場合によっては2段構成)にする
序論→本論→結論で、論拠を示しつつ、自身の意見を論理的に展開する。
段落の構成は、あまり意識しなくても大丈夫です。(PREP法は、小論文には不向きです。)
『自分の意見を、論理的に述べること。』この1点に意識を集中させてください。
- 序論⇒与えられた課題についての、定義や現状の課題を書く
- 本論⇒自身の意見(解決方法を書く)を書く
- 結論⇒なぜ、その解決方法がベストなのか又は解決方法をどうやって実現するのか?を書く
小論文をノープランで書き始める人がいますが、結局は、書いては消しの繰り返しが増え、逆に時間がかかるのでおススメしません。
小論文を最短で作成する方法は、『論展開に必要な、パーツとなる文章を作成し、そのパーツを最適な順序に組み立てる。』これしかありません。最適な順序とパーツの作り方さえ分かれば、誰でも説得力ある小論文が作成できます。
参考記事 昇進・昇格試験|小論文の書き方講座(構成編・実践編)
タイトルと内容を一致させる
文章に不慣れな人の場合、内容とタイトルが不一致であるケースがまれにあります。
明らかに不一致というケースは、少ないものの課題に対する解決策が芯を捉えたものでない場合は、よくあります。
間接的な解決方法ではなく、ど真ん中の解答を書きましょう。
箇条書きを活用する
論文が読みやすくなります。
箇条書きは、書き手の説明力不足を読み手が想像で補ってくれます。
読点を適切に打つ
読点を打つ最適の場所は、文脈や内容によって異なるため、明確なルールはありません。
音読してみて、もし違和感があるなら、そこは読点を打つべき場所ではない可能性が高いです。
読点は、より文章をわかりやすくするため、読みやすくするために打つ、という感覚を持ちながら打ってください。
材料を集めてから、書き始めること。
いきなり、小論文を書き始めてはいけません。
着地点をイメージし、どう自分の意見を論理的に表現するか、アウトラインを決めてから、書き始めましょう。
最初に、アウトラインを決めておかないと、結論にたどり着けません。
4.他の受験者に一歩差をつける。評価される小論文を書くコツ
惰性で書いてはいけない
これは、学校教育(特に大学教育)の弊害ですが、文章が苦手な人は、小論文やレポートを書くときに、無意識的に文字数を水増ししようとする傾向があります。
文字の水増しは、絶対ダメです。
採点者側にバレてしまいます。薄めたカルピスでは、誰も満足させられません。
理想は、既定の文字数以上で作成し、内容を端的に削っていき、密度の濃い小論文をつくることを目指しましょう。
誰に届けるのか?読み手をしっかり意識する
専門用語は、技術的なテーマで論じることが求められていないのであれば、避けた方が無難です。
これは、採点官は、自社の専門職とは限らないためです。
採点が外注される可能性も考慮して、若手社員が読んでも内容が理解できる、丁寧な小論文を目指しましょう。
抽象論より具体論
小論文が昇進試験、昇格試験で課せられているのは、その受験者を昇進させれば、実務者として、組織にどのようなプラスをもたらしてくれるのか?を確認するためです。
冒頭にも書きましたが、そこらへんにあるマネジメント本から引用してきたような、抽象的なアイディアは求められていません。
より具体的なアイディアが求められています。
書くべきは、その解決策を実現するためのアクションです。
論理のつなぎ目には、キチンと説明を
いきなりですが、例文です。
『昨日は海開きだったが来場者は少なかった。』一読して、なんだか落ち着かない気がしませんか?
この文章には、なぜ少なかったのか??論理に飛躍があるので、採点者が置いてけぼりにされてしまいます。
疑問点があると、採点者が論理展開についてこれなくなります。
この場合、書くべき文章は『昨日は海開きだったが、気温が低かったので、来場者は少なかった。』と理由もつけて丁寧に書くべきです。
順番は無視して書きやすいところから書く
書きやすいところから書く。
イメージでいえば、まずはパズルのピースをどんどん作る。ピースができたら、最適の場所にはめる。
結論から先に書いて、結論のピースをつくる。次に、前振りを書いて序論のピースを作る。ピースが揃えば、最終的に切り貼りして、論文に仕上げると言った感じでOKです。
一番ダメなのは、順序に固執して、手が止まってしまうことだということを覚えておきましょう。
5.まとめ
学校のテストとは異なり、昇進・昇格試験は、その勉強方法や手順を誰も教えてくれません。
職場の親切な上司や先輩に聞けば、ふわっとしたアドバイスをくれると思いますが、注意してください。
その方法は、その上司や先輩が『たまたまうまくいった方法』に過ぎません。鵜呑みにすると、失敗します。
少なくとも、タイムロスをすることになります。
多くの人は、昇格試験・昇進試験に合格するための学習プランをメソッド(手順)として確立できるほど、多くの受験経験は有していません。
加えて、受験者である『あなた』と『その上司・先輩』は、経験もスキルも違うので、同じ学習計画をたてても、結局、うまくいきません。
だから、先輩や上司に勉強法を聞いても無駄です。
上司・先輩の手法が、合格に導いてくれる保証はありません、根拠がなく再現性がないからです。
合格するために必要なのは、『合格までのロードマップ』には、何があって、自分が何を対策しなければならないかを、把握することです。
繰り返しになりますが、昇格・昇進試験に、志望動機の提出や筆記試験(択一式)、面接なども課されている方で、何をやったら良いか、よくわからないという方向けに昇進・昇格試験全体のロードマップに関する記事も用意しています。
ご参考にしていただければ。
参考記事【完全攻略】昇進・昇格試験って何をすればいいの?合格までのロードマップとは
参考記事【完全攻略 昇進・昇格試験】小論文対策って何をすればいいの?合格までのロードマップを解説
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