解答例文つき 昇進・昇格試験(論文編)|管理職として職場におけるメンタルヘルスをどう実現するか

メンタルヘルス

今回は、昇進試験のテーマとして「メンタルヘルス」の推進を取り上げます。

率直に言って、「メンタルヘルス」が昇進試験の小論文のテーマとして選ばれる可能性は、低いです。

理由は2つで、

  1. 会社側は昇進試験で、その志望者がマネジメント適性があるのか?ないのか?を最もチェックしたい
  2. そもそも部下がメンタルを病む頻度は高くない(その他の管理職が抱える役割と比較して、問題が生じる頻度が低い)

では、全然ノータッチでいいか?と問われると、それは違います。

どんな職種の管理職であっても、必ず求められる役割でもあるので、小論文で課されなくとも、面接なども含めた昇進試験では、触れられる可能性もあります。

特に、メンタルヘルスの関係で、組織が問題を起こした場合や、メンタル疾患による病休者や退職者が増加傾向にある場合は、問われる可能性が高いテーマになるでしょう。

しば

出題される可能性は他の分野より低いが、組織がメンタルヘルスに力を入れたい場合(現状の取り組みがうまくいっていない場合)、問われる可能性がある分野です。

余力があれば、しっかり押さえておくべきテーマです。

その他、昇進試験について何をどう勉強すればよいか不安な方、志望動機や他テーマの小論文の作成について学びたい方は、こちらからどうぞ。

参考記事【完全攻略】昇進試験って何を勉強すればいいの?合格までのロードマップとは

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小論文作成の準備|キーワードの洗い出し

地に足の着いた具体的な小論文とするため、必要なキーワードの洗い出しから開始します。

以下は、私が考える「メンタルヘルス」に関するキーワードです。みなさんも余力があれば自分の手を動かして考えてみてください。

① 言葉の定義を必ず調べる

厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針(外部リンク)」に定義が記載されているので、まずはその内容を押さえましょう。

昇進試験に関係しそうな部分のみを要約すると、メンタルヘルスには4つの形があって、その中のラインによるケア、これが管理職の役割として求められています。

4つのメンタルヘルスケア
  • セルフケア
    労働者がストレス要因に対するストレス反応や心の健康について理解するするとともに、自らのストレスや心の健康状態について正しく認識できるようにすること。

  • ライン(管理職)によるケア ココ重要!
    (管理職に求められる役割として)職場環境等の把握と改善労働者からの相談対応を行うことが必要。 このため、事業者は、管理監督者に対して、管理職によるケアに関する教育研修、情報提供を行うものとする。

  • 事業場内産業保健スタッフ等によるケア

  • 事業場外資源によるケア

要するに、管理職は『職場環境を把握して、マズい状態なら改善すること』、『部下の不調をいち早くキャッチして、ちゃんと相談しやすい雰囲気にしておけよ』ということです。

ちなみに、この指針にはメンタルヘルスの視点から見た留意すべき職場環境のポイントと相談対応のポイントも掲載されています。

、指針の表現が堅すぎで、理解しにくい。

厚生労働省の部下を持つ方へ|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト (mhlw.go.jp)には、イラスト付きで、平易な言葉づかいでの説明があるので、そちらを活用しましょう。国のHPなのに、非常にわかりやすいです。以下要点抜粋します。

メンタルヘルスの視点から見た留意すべき職場環境
  • 「物理化学的環境」(例:騒音、照度、温度、湿度)
  • 「人間工学的側面」(例:作業スペース、作業姿勢)
  • 「人間関係」⇒メンタル不調の一番の原因(厚労省の労働者健康状況調査より)
  • 「仕事の負荷」(質、量)
  • 「仕事の自由度・裁量権」
相談対応のポイント
  • 時間をつくって話をきく
  • 相談内容を正確に把握し、問題解決のために必要な資源や人材を活用していく
  • 話をきくためには、できれば個室で
  • 自分で解決できない場合は、社内外の専門家に相談を勧めること
  • 励ましが逆効果になることもあるので注意

② 理想の状態をイメージする

メンタルヘルスが職場に行き届いている状況をイメージします。仕事における理不尽がなくて、何でも相談できるような、上司や同僚に囲まれている状況がそれに該当するのかなと思います。私が具体的にイメージしたのは以下のとおり。

  • 能力に応じた業務分担(不平がない)
  • 時間的にも体力的にも余裕がある
  • 人間関係が良好(しんどい人がいない)
  • 個人攻撃するような人がいない
  • 残業したい人(仕事にこだわりたい人)も残業したくない人(仕事にこだわりたくない人)も共存できる

③ 現実をイメージする

実際に現実をイメージしてみると、改善すべき点が見えてきます。

  • 一部の人に過度な業務負担
  • 業務割り振りに対する不満
  • 責任感のある人とない人が共存できない
  • 仕事にこだわりがある人とない人が共存できない
  • 個人攻撃を平気でするようなメンバーがいる(本人にその認識がない)
  • まわりのモチベーションを一気に下げるような爆弾級の人がいる

④ 余力があれば、マイナス要因も考えておく

メンタルヘルスに配慮し過ぎたら、そもそも人は育たないし、組織は利益があがらないのではないだろうか。競争社会で、ストレスがないなんてことはあり得ない。どこまでストレスを許容できるのか?そのバランスが大切。

⑤ 具体的な解決方法をイメージする。

  • 管理職が職場でできるメンタルヘルスは、予防策としての職場環境の整備と対処療法(早期発見)としての相談対応。
  • 理想は、誰もがメンタルヘルスにならない状況なので、職場環境の整備をまず重点的にやるべき
  • セルフストレスチェックの活用(厚労省のHP)
  • 人によってストレスの許容度(ストレス耐性)には差がある。中には、コミュニケーションが苦手で前任者に仕事のやり方をしっかり聞くことができず、ストレスを抱えてしまうような人もいる。
  • 業務の割り振りで、適材適所を貫くことができるなら、この手のストレスは改善できる。管理職がどれだけそのスタッフ資質を把握手出来ているかが重要

小論文 解答例文

小論文を作成するにあたっての論理構成

作成するにあたっては、先ほど準備した①~⑤の材料を組み合わせて、論理的な文章を構築します。論理展開としては以下の順番がおススメです。

  1. 用語の定義(今回はワークライフバランスとは)
  2. 現状(どんな課題があるか)
  3. 理想
  4. その為に何をするのか

解答例文 管理職として職場におけるメンタルヘルスをどう実現するか

メンタルヘルスの推進(労働者の健康の維持)については、労働法にその起源を持ち、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針(指針)」の中で、その詳細が掲げられている。

指針では、管理職がメンタルヘルスを推進するうえで、果たすべき役割を「職場環境等の把握と改善」、「労働者からの相談対応」としている。

両者の優先順位を考えると、メンタル疾患は、発症すると回復に非常に時間を要するため、「早期発見(相談)」より「予防策の充実の方」が取り組みの優先度は高いと考える。

この前提をベースに、以下に管理職として『管理職として職場におけるメンタルヘルスをどう実現するか』を述べる。

1.現状(課題)

管理職が職場において、メンタルヘルスを実践していくうえで、取り組むべき課題は以下の3点である。

①、業務の管理(質と量を適切に配分する)

②、ストレスチェックの実施と管理職への情報共有

③、セルフケア研修の実施

2、具体的な対策

①、個人の能力に応じた、業務分担の徹底

厚生労働省の指針では、「仕事の量と質」について、職場環境整備の中で取り組むべき項目として挙げている。

しかしながら、メンタルヘルスに過度に配慮をした場合、仕事は成り立たない。競争社会で、自分ができるレベルの仕事だけをやっていて、継続して成果が出るなんてことは、あり得ないからである。仕事をする上で、成長をする上でも、ストレスを0にすることは不可能ということである。

つまり、「仕事の量と質」を考える上で、取るべき方向性は、メンタルに不調をきたすような、ストレスレベル高い業務はできるだけ避けて、成長を促すようなストレスレベルの業務にコントロールするということである。

ここで注意すべきなのは、人によってストレスの許容度(ストレス耐性)や得意不得意には大きな差異があるといくことである。

例えば、コミュニケーションが苦手で前任者に仕事のやり方をしっかり聞くことができず、ストレスを抱えてしまうような人もいれば、全く苦ではない人もいるということである。

管理職が、面談や日々の仕事ぶりの中でその係員のスキルや資質を捉え、適材適所を貫くことができるなら、メンタルヘルスの推進と、業務目標の達成は、共に追い求めることができると認識している。

②、ストレスチェックの実施と管理職への情報共有

適材適所を実現するうえで、必要な情報は、その係員の資質・スキル以外にもう一つある。それは、『チームメンバーのストレス状況が、今どうであるかを把握する』という点である。

既に、メンタル的に余力のないメンバーに難易度が高い仕事をふっても、オバーフローする。逆に余力があるなら、難しい仕事を振らないと、成長にも成果にもつながらない。

管理職がメンバーのストレスレベルの高低を判別するのは難しい。 なぜなら、本人が申告することは無いし、そもそも自覚してもいないことがあるからである。加えて、ストレスの要因が、仕事以外の社会生活全てに渡るからである。

この問題の1つの対応策として、現在社員全員に実施している、セルフストレスチェックの結果を、人事部局だけでなく、より現場に近い管理職にも共有できないかと考える。 ストレスチェックの情報は個人情報で、むやみに共有されるべきものではないが、本人同意と管理職への守秘義務を提示することで、クリアできないかと考える。

③、セルフケア研修の実施

繰り返しになるが、ストレスの恐ろしい点は、自己認識ができないという点である。

ケガや風邪ならば、大事に至らないように自身で活動をセーブして、回復の時間をとることができるが、ストレスの場合は、自己の許容量を超えても気が付かないまま活動を継続し、結果、うつ病などのメンタル疾患で強制的に行動ができなくなって、初めて自身も周囲も気が付くというパターンがある。

以前の職場の事例では、ベテランのパートさんが「(若手社員の)〇〇さんの口数が最近へっているけど、大丈夫?」と周囲に伝えてくれたおかげで、対象者のメンタル不調を未然に防ぐことができた。

メンバー内に以前と比べて遅刻が多い、顔色が良くない、口数が少ない、身だしなみが乱れてきた、昼休みに一緒に食事に行かなくなった、仕事の能率低下やミスが目立つなどの徴候が出てきたら、気づいた者が管理職につなげるような環境が望ましい。

そのためにも、職場研修等の場を活用して、メンタルセルフケアの必要性について、チームメンバーの認識を深める取り組みを進めるべきである。 管理職への昇進が叶ったなら、上記3つの具体策をもってメンタルヘルスの推進に貢献したいと考えている。

約1,800字    

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