防災士が解説する防災行政無線は本当に迷惑施設なのか?法令規制の対象になるのかについて解説します

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防災行政無線とは何か?

防災行政無線をご存じですか?小学校や公民館、場合によっては公園に設置されている屋外放送用装置(ラッパ)とそれに付随する機器の事をさします。

私の住んでいる自治体では、5時に夕焼け小焼けの定時放送があります。最近だと、コロナウイルス感染症に関する外出自粛の放送が毎日流れています。(緊急事態宣言は解除されたものの、外出自粛の放送は継続して続いているようです)

あとは災害時にも流れているようですが、特に大雨の時には、雨音と屋内を締め切っていることもあり、全く何を言っているのかは聞こえません。

防災行政無線の構成

(神戸市防災行政無線ハンドブックより引用)

無線2

 

夕焼け小焼けの定時放送以外にどんな時に鳴るのか?

細かいところは、自治体によって異なります。ただ、防災行政無線の本来の意味は、夕焼け小焼けを流すことではなく、住民に危険が迫っていることをお知らせするため緊急放送を流すためにあります。具体的には以下のケースが挙げられます。

MEMO
  • 住民に避難を呼びかけるとき(洪水、土砂崩れ、津波)
  • ミサイルや大規模テロで住民に避難を呼びかけるとき
  • 緊急地震速報
  • その他
※夕焼け小焼けの放送は、危機に故障がないかという保守運営の一環として実施されているにすぎません。

放送内容に一定制限をかけているものの色々な場合に対応できるよう、放送の内容やその長さは、発信主体である国や自治体の裁量によるところとなります。

例えば、行方不明者の捜索などの情報は、防災行政無線で流すことが多いようです。詳細は、各自治体ごとに「防災行政無線局管理運用規程や要綱 」を定めていることが多いので確認が可能です。厚木市の場合は以下の通り。

厚木市防災行政無線局運用要綱

固定系を使用して放送することができる事項は、次のとおりとする 。

(1) 地震、台風、洪水等の災害に関すること。

(2) 公害についての注意報及び警報に関すること。

(3) 市政の重要なお知らせで急を要するものに関すること。

(4) その他市民生活に係わる重要なお知らせ等市長が特に必要と認める事項に関すること 。

防災行政無線にはどんな課題・問題点があるの?

このように防災行政無線は、災害時や緊急時の情報伝達のツールですが、ツールとしては非常に課題が多いものとなっています。

防災行政無線の課題・問題点
・聞こえるエリアに限界がある(機材の種類によるが300m~500m)

・当たり前だが、ラッパが向いていない方向には聞こえにくい

・都会部では、音が高層の建物にぶつかって明瞭に聞こえない

・たくさん建てれば、それだけ聞こえるようになるが、同時に音同士が干渉しあって(ハウリングして)逆に聞き取りきくくなる

とこのようにたくさん課題があります。当然ながら国や自治体は防災行政無線以外にも様々な、情報伝達手段を用いて、情報発信をしています。(ホームページやSNSやエリアメール・緊急速報メール)

その情報発信手段のどれもが、欠点を有しているため同じ内容を様々なツールで伝達するという手段をとっています。今後、スマホの普及率がさらに上がり、日常生活に不可欠なものとなれば、防災行政無線はその役割を終えることなると思われます。どれくらい先になるかは不明ですが、今はその過渡期であると捉えることができます。

国や自治体が、今こぞってスマホアプリを開発していますが、これは防災行政無線がなくなる将来を見越しての先行投資であるともいえます。

コロナの関係で屋外放送がながれていたけど、法令で規制されないの?

規制されません。防災行政無線は、法律や条例で規制される対象には入っていません。騒音規制法とその関係条例でどのように規定されているかを紹介します。

騒音規制法 第1条より
この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴つて発生する相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行なうとともに、自動車騒音に係る許容限度を定めること等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。
条例(大阪府生活環境の保全等に関する条例施行規則)第68条
(拡声機の使用の特例)次に掲げる場合とする。
一 災害時における広報宣伝その他公共のために拡声機を使用する場合
二 公職選挙法に基づく選挙運動のために拡声機を使用する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、一時的に拡声機を使用する場合であって周辺の生活環境を著しく損なうおそれがないとき

簡単にまとめると、法律では防災行政無線を騒音の対象とはせず、条例では防災行政無線を騒音の例外規定として定めています。なので、防災行政無線が法的に制限されることはあり得ません。

住民とのトラブル(迷惑施設としての側面も)

防災行政無線については、音を出す施設であることから、住民とのトラブルに発展するケースが全国で多々あります。上記で述べたように、騒音規制法の関係から、住民と係争関係になることはありませんが、「社会生活を送る上で受忍すべき限度を超えているか否か」で裁判で争われたケースがあります。

結果は、原告敗訴です。この裁判の判決が、前例として今後の裁判の基準となってくるため、住民が訴訟を起こして勝訴する可能性は非常に低いでしょう。

一応、リンクを張っておきます。

防災無線差し止め訴訟 ≫ 名古屋地方裁判所:判決文 http://sumb.web.fc2.com/souon/add/hanketu_tisai.htm

 

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