これまでたくさんの再雇用の方をみてきましたが、特に管理職から係員に職位が下がる人に地雷が多い。
1人の中間管理職の本音として、自分の部下や上司に再雇用の人(特に職位が下がって再任用・再雇用で働く人)は、いらないです。
皆さん、大体、以下のような傾向(老害たるゆえん)をお持ちです。
- 自分で勝手に仕事の守備範囲を決めちゃう ⇒元上席なので誰も指導できない
- 仕事に対するスタンスが消化試合 ⇒周りのモチベーションを著しく下げる
- 職位が下がっても、仕事のやり方は以前の職位のまま ⇒手を動かす仕事は若手に丸投げ
社会では、これを老害と呼びますが、本人たちは無自覚です。
周りのモチベーションを下げる再雇用の人が配属されるぐらいなら、右も左もわからない新卒の方が、素直なぶん、まだ戦力として計算できます。
ただ、再雇用される人たちも、それ以前は最前線でバリバリ働いていた人なので、矛盾だらけの年金制度の犠牲者という見方もできます。
この再雇用・再任用の制度は、年金の支給金額引き上げを実現するために、後付けで作られた制度であり、『元気でやる気があり、たくさんの経験をもつ高齢者をもっと活用しよう』という理想からは、かけ離れてしまっています。
【再任用制度】
定年等で退職した国家公務員の公務で培った知識・経験を公務の場で活用していくとともに、60歳台前半の生活を支えるために設けられた制度です(平成13年4月導入)
もちろん、再任用・再雇用の中にも素晴らしい人材もおられますが、それは宝くじで10万円が当たるくらいレアです。
今回は、再雇用社員・再任用職員は老害。いらない3つの理由を、現場の目線から解説したいと思います。
しば
目次
再任用・再雇用が老害である3つの理由
理由1.自分で勝手に仕事の守備範囲を決めちゃう
再雇用時の契約内容から、逸脱する仕事は基本しません。
複数の社員でチームを組んでプロジェクトを進めていたとした場合、自分の担当領域を自分で都合よく決めてしまいます。設定する担当領域が広ければ、周りから尊敬されたり、信頼されたりするのですが、基本的に、周囲をガッカリさせるような守備範囲しか受け持ってくれません。
さらに始末の悪いことに、一定の職位(例えば、スタッフの管理職)を維持したままの再雇の場合、ラインの課長が指導・教育できないので、誰も手出しができません。
実際に、こんな感じのやり取りになります。
さすがに、ここまで言う人は少ないです(でも意外と普通にいます)が、予定外の仕事が増える場合は、いちいち不満をいってくる人が多いです。
気持ちよく「やります」とか「任せてね」とかの返事が返ってくることは、レアです。
職務の範囲なんていうものは、捉え方で、いろんな解釈ができるため、それを盾に仕事を引き受けることも、突っぱねることもできるのです。仕事に対して、柔軟性を欠く人間を指導することは、正直管理職にとって、非常にしんどいことです。
係員でもこういう困った人はいますが、管理職より職制が下なので、比較的コントロールしやすいため、まだ救いがあります。
予定内の仕事、決まった仕事しかしないというのであれば、再雇用ではなく、アルバイトで十分です。
参考記事 【難題】役職定年者や再雇用など年上の部下への接し方|siba1116|note
理由2.仕事に対するスタンスが消化試合:毎日定時で帰る
役職や給料が下がると、以前と同じモチベーションで働くことは困難です。再任用・再雇用者のもう一つの傾向は、仕事以外の何かに生きがいを見出しているという点です。
そのため、定時で帰ることに異常にこだわるという点です。
毎日、定時で帰れる環境というのは、分析すると2つの結論に到達します。1つは、仕事を効率よく進めている場合で、もう1つは、仕事の絶対量が少ない場合です。再任用・再雇用の人の場合、後者であり、正社員と比較して圧倒的に割り振られている仕事量が少ないのです。
じゃあ、もっと働いてもらったら?と思うかもしれませんが、役職が下がった元先輩や元上司と一緒に仕事をすることに、メンバーは、遠慮や気兼ねがあります。メンバー間で気軽言える「手伝って~」がなかなか、再雇用・再任用の人には言えないのです。
結果、再任用・再雇用者の定時帰りを、不本意ながら職場もサポートしてしまうという状況になります。
再任用・再雇用の人はそのことを自覚し、そこを汲んで先回りして、「何か困ったことない?あれやろうか?」みたいな声掛けをしてほしいのですが、そんな人はいません。
再任用・再雇用の人には、「給料が下がったから」、「職位が下がったから」、「再任用・再雇用だから」といったことを前面に出してくる人もいますが、それは単なる甘えです。
前段で書いたように、「自分で自分の仕事の範囲を決めちゃう」と、この「定時で帰る」組み合わさると、どうなるか??
再任用・再雇用の人は、少しでもオーバーフローするような業務がくると、周りに振ったり、仕事の質を下げたりして対応し、自分のできる範囲のことしかしなくなります。
理由3.職位が下がっても、仕事のやり方は以前の職位のまま
手を動かす仕事は若手に丸投げで、いつまでたっても、前職であった部長や課長の時の仕事のやり方を引きづっているケースが多いです。
最もやっかいなのは、以前の職位の立場で自分の意見(理想)を主張してくる人です。理想を主張するのは結構ですが、それを実現する手段や手法を提案することはしません。
意見(理想)を言っている当の本人は、自分の経験や知識に基づく、価値のある意見だと思っているので、悪気は全くありません。これまで周りが、その人の意見(理想)を聞いていたのは、その職位に対して意見を求めていたということに気がついていないのです。
「現場のやり方に異議を唱える」イコール「対案の実効性を担保できている」が前提ですが、そういった暗黙のルールが、再任用・再雇用者には、通じません。
総括すると、仕事を進めるうえで、おぜん立て(バックボーンを調べて分析したり、統計データをまとめたり)をしてもらっていた立場の気質が抜けないのです。
そして、このしわ寄せは、周囲のメンバーにいくことになります。当然、負担が増えたメンバーは、納得できないまま、仕事をすることになります。
再任用・再雇用者対策|自身を守る方法
そもそも、再任用・再雇用する前に、どういう立ち居振る舞いが職場から求められているかを、人事部局がしっかり教育しとけと思うのですが、正直それは期待できそうにありません。
ストレスでパンクする前に、以下の対策をおススメします。
係員編
再任用・再雇用の人に、直接自分の考え(不満に思っている点)を伝えることはやめましょう。
彼らは、年下から意見されるということに、免疫がありません、そして年下なら自分に敬意を払うべきという思い込みがあります。つまり、年下が正論を言っていたとしても、感情的に受け入れられないのです。面子を潰して意固地になられて、うまくいくことはありません。
対応策としては、自分が何で困っているのか、再任用・再雇用の人にどうしてほしいのかを伝え、上司に改善をお願いしましょう。
お願いするときのポイントは、どれくらい業務負担増えたのか、そして、このままの状態が続くと、どういった問題が生じるのか(例えば、スケジュール遅延が生じる等)を伝えることです。
個人の問題ではなく、課の問題として伝えることができれば、管理職も基本動いてくれるはずです。
管理職編
再任用・再雇用の人たちの視点だと、管理職も元々は自分の部下や後輩であり、知識や経験では自分の方が上であるという認識があります。
つまり、管理職が正論を言ったところで、なかなか聞き入れてもらえない構図になっているということです。
このような状況の中で、再任用・再雇用を組織の歯車として、活かすために管理職がとるべき対策は1つです。
それは、チームでやる仕事では再任用・再雇用は機能しないことを前提に、仕事の割り振りをきめるということです。
通常、どのようなプロジェクトであっても、トラブルが生じたときのバックアップ要因として複数担当性が敷かれているケースがほとんどだと思いますが、思い切って、再任用・再雇用の人だけで完結する仕事を割り振って、そこには別の担当はつけないということにするのです。
再任用・再雇用の人が周りに頼れない環境を強制的につくれば、嫌でも責任感が芽生え、手を動かし始めます。
まとめ 再任用・再雇用の人たちを生かすも殺すも制度しだい
今回の記事では、再任用・再雇用の人たちを、かなりネガティブな存在として書きました。これは私の実体験がベースになっているので、もちろん優秀な人もおられるケースがあることも知っています。
一部の人からは、年齢差別だとか、そんなことはないといった意見もあるやもしれません。
ちなみに、再任用・再雇用の人が、新たに自分の部署に配属されることを知ったとき、あなたの気持ちは、明るくなりますか?暗くなりますか?
残念ながら、正社員のほとんどは、後者になります。
理由は簡単で、会社側は再任用・再雇用の人を1人分の戦力としてカウントし、配属しますが、上記で述べたように、彼らは1人分の仕事はしないため、その負担を自分を含めた誰かが被る可能性が出てくるからです。
結局、この再任用・再雇用の制度がWIN-WINの関係になるには、会社側が再任用・再雇用の人を再教育し、プレイヤーとしてのマインドを持たせること、そして0.5人分の戦力としてカウントすることが必要なんじゃないかと思います。