令和2年台風10号では79の自治体で避難所の受け入れ拒否(たらい回し)が発生。この問題について内閣府から9月23日付で通知(見解)が出ているので、防災士が解説します。

taifufu

結論
「令和2年9月23日 内閣府通知」では、『危険を伴う天候の場合などには、他の避難所を紹介することは避けるべきである』と、明示されています。今後、風水害で避難所が多少過密あることはあっても、自治体による避難者受け入れ拒否は減っていくはずです。

令和2年 台風10号では何が問題になったのか

被害は相対的に小さかったけど、避難者数が多かった。コロナ禍で避難者が避難所に入れなくて、たらい回しにされるなんてことが、初めての起きた風水害。

避難者をたらい回しにすることは、現場も避難者も相当なストレスだった報道されている。

個人的には、避難所でコロナが蔓延化し、コロナで人が死ぬリスクと避難所をたらい回しにすることで、避難の際に死ぬリスクを、冷静に天秤にかけることができなかったと考えている。

自治体は、マスコミの情報や世間の目を気にすることなく、冷静な目で判断すべきだった。台風による災害は、被害は発生しなければ、大体24時間程度の開設になる。多少過密でも、たらい回しなどせず、当該避難所で受け入れるべきだった(事実、過密でも受け入れた自治体もある)。

また、公民館みたいな小規模施設を避難所に指定するなら、どの地域をどの避難所が受け入れるのか?1対1の関係が事前に整理できていなければ、定員超過が発生するのは当然です。この点については、自治体の準備不足・考察不足です。

なぜ避難所のたらい回しが発生したか?基礎自治体のミスについて
  • キャパの小さい施設を避難所に指定するなら、どの地域の人を受け入れるのか事前にきっちり整理しておく必要があった(できてないなかった)
  • 必要以上に、コロナウイルスに過敏になりすぎた(これは、マスコミも悪い)。どうせ短時間の避難所開設になるのだから、多少過密でも、避難者を受け入れるべきだった。

 

この問題から得られる教訓はたくさんあって、令和2年9月23日付けで、内閣府から道府県当てに通知が発出されていたので、国がどういう風に対処すべきと考えているかを少し掘り下げていきたい。

通知文の全文を確認したい方は、こちらのリンクからどうぞ(内閣府)

 

内閣府から都道府県向けに出された「令和2年台風第 10 号を踏まえた今後の台風における避難の円滑化について」の項目

令和2年9月23日 内閣府通知の項目

1.平時からの対応
(1)様々な避難先の確保等を促す周知・広報
(2)避難所における新型コロナウイルス感染症対策に係る周知・広報
(3)可能な限り多くの避難先の確保
(4)避難の円滑化のための収容人数等の周知

 

2.台風が接近してきた際の対応
(1)暴風等を踏まえた避難情報の早期発令について
(2)台風接近時における様々な避難先の確保等を促す周知・広報
(3)必要な避難所の当初からの開設
(4)ホテル・旅館等の活用

この通知の内容自体は、ほとんどが以前だされた通知と同じでしたが、一部に台風10号での問題点(避難所での避難者受け入れ拒否)を踏まえた、新しい考えが示されていたので、その部分を解説します。

防災士の視点から見た、この通知の重要な部分3点

2.(1)暴風等を踏まえた避難情報の早期発令について

(通知本文 抜粋)

台風による暴風時の避難は危険を伴うことを踏まえ、「避難勧告等に関するガイドライン②(平成 31 年3月改訂)」の記載を参考に、洪水・土砂災害・高潮等の発生に備え、気象庁から暴風警報が発表され次第可能な限り速やかに警戒レベル4避難勧告等を発令することを検討いただきますようお願いします。

 

なお、検討にあたり、暴風警報の発表後3時間後には暴風となるおそれがあることや、住民の避難に要する時間に留意いただきますようお願いします。また、必要に応じ貴市町村における避難勧告等の発令基準の見直し等を検討いただきますようお願いします。

しば

「避難勧告等に関するガイドライン②(平成 31 年3月改訂)」を確認しました。

 

高潮については、暴風で避難行動がとれなくなるリスクがあるため、暴風警報が、避難勧告などのトリガーとされていましたが、洪水や土砂災害では、そのような記述は見当たりませんでした。(どうなってるねん内閣府・・・)

 

当然ですが、洪水や土砂災害は、大雨によって発生するリスクが高まるのであって、暴風により発生するもではありません。雨量が少なければ、浸水想定区域、土砂災害警戒区域に住んでいる人は、そもそも避難する必要がないのです。

この内閣府の通知では、『暴風警報イコール避難準備情報・避難勧告の発令をしなさい』と市町村が解釈しないか心配です。

2.(3)必要な避難所の当初からの開設 ①

(通知本文抜粋)

(アンケートに)回答いただいた市町村では、「新たな避難所を開設することにより、必要な避難所を開設できた」と回答する市町村が2割程度ありました。

新たな避難所を開設することは、開設情報を住民に十分に周知できない可能性があること、避難所間の移動における危険性もあることから、必要な避難所を、できる限り当初から開設するようお願いします。

しば

暴風に対する避難所開設については、全避難所開設が望ましいです。台風10号時には、段階的に避難所を開設していった自治体ありました。

 

風による被害リスクが高かったので、内閣府の指摘通り、早い段階で、自治体内のすべての避難所を開設するという選択が、ベストだったと思います。

台風による豪雨 ⇒ 河川・土砂災害のリスク(局所的なリスク) ⇒開設する避難所は限定的

台風による暴風 ⇒ 風による建物被害のリスク(広範囲なリスク)⇒開設する避難所は広範囲

 

 

2.(3)必要な避難所の当初からの開設 ②

(通知本文抜粋)

万一、収容人数を超過する避難所が発生した際には、避難者の安全等を考慮し、当該避難所で避難スペースとして想定していた以外のスペースを避難スペースとして開設できる場合はそのような対応をするなど、状況に応じて最も適切な対応をしていただくようお願いします。

特に、他の避難所へ行くことに危険を伴う天候の場合などには、他の避難所を紹介することは避けるべきです。

 

しば

避難所が受け入れを拒否し避難者をたらい回しにすると報道が出た時、衝撃を受けました。

今回の、内閣府の通知には「台風第10号を踏まえた避難関係の調査」も含まれているのですが、236自治体の内、79自治体で受け入れ拒否が発生したとの調査結果が出ています。

 

自治体はマスコミや世間の目を気にしすぎて、コロナを過大に恐れすぎです。台風が上陸しておらず、まだ時間的な余裕があったとしても、避難所をたらい回しにして、避難中に事故などにあるリスクを正確に評価すべきだったと思います。

 

内閣府からも、「たらい回しにするなよ!!」と通知がでたので、今後の災害では、多少過密になっても、避難所での受け入れ拒否は減っていくと思われます。

 

ホテルが公的な避難所になる可能性について 考察 2020.10.03

今回の、台風10号で、明確になったことが1つあります。

それは、台風などの事前避難(発災前の避難)の段階では、ホテルは公的な避難所として提供される可能性は、限りなく低いという事です。

小学校などの一般の避難所と比べて、ホテルは非常に快適です。仮に、ホテルを開設した場合、希望者が殺到し、収拾がつかなくなります。ホテルで避難者を受け入れるにあたっては、何らかの優先順位をつけ、住民に周知をしておかないと混乱が生じるだけという結果になってしまいます。

ホテルを避難所として開設するにあたっては、誰を優先して受け入れるかという問題が付きまといます。自治体が一番嫌がることは公平な運用ができない事です。

この問題がクリアにならない限り、ホテルが、事前避難を受け入れる避難所として運用されることは難しいでしょう。また、自費でホテルに避難している人との兼ね合いもあります。

可能性としてありうるのは、① 避難が河川決壊などで局所的な場合、一部の避難所だけが過密になる事に対して、その解決策 ② 避難行動要支援者(要介護認定の高い人、障害手帳の所持者)に限定して、ホテルで受け入れる。ここら辺についてはあり得ると思います。

ホテル 新型コロナウイルスの影響で災害時にはホテルが避難所代わりになるって本当?防災士がお答えします

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